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左近山団地パークプロジェクト

10/21

先週10/15(日)JUDI関東支部のセミナーが左近山団地で行われた。「スタジオゲンクマガイ」が取り組んでいる左近山団地パークプロジェクトの話を現地へ聞きにいった。クマガイさんの事務所には、丹波での活動にも参加していたOGの成富さんが所属している。
広場の説明は下の記事を見てもらうとして、
僕が関心を持った点を少し書き留めておきたい。


左近山団地は、神奈川県横浜市旭区にある全体で4800戸(広場がある中央地区は1300戸)の分譲と賃貸が混ざった巨大団地である。駐車場が団地の外に計画されていることもあり、住棟間のスペースに余裕があり、また、地形に沿った住棟配置のためそれぞれのスペースが多様な形となり、大小さまざまな公園や緑地が計画されている。(と言っても住棟形式は画一的なので、限界はあるのだけど)歩いていても風景が結構変わって楽しい。


まず分譲と賃貸の差を改めて感じた。
広場は中央地区(=分譲街区)の管理組合が管理していく。計画段階から施工までクマガイさんの事務所と管理組合、地域住民みんなが作り上げるプロセスを共有してきた。これからもそうしていくという。
一方、僕の活動している南花台団地は1214戸はすべて賃貸。緑地などの共用部分は「みんなのもの」だけど自分たちで花を植えたりベンチを作ったりは、制度上禁止されている。
どちらがいい悪いの話ではなく、こんなことはできるし、こんなことはできないという点が分譲と賃貸とでやっぱり大きく違うなぁと。要は仕組みの問題。
どんなメンバーがどんな体制でどんなことをどうやってやるのか…ただそれだけの問題なのかもしれない。


クマガイさんは「みんなができることをできるようにする広場をつくる」といっていた。
ワークショップの中で、みんなのやりたいことがたくさんあることがわかった。その次にでは今までどうしてできなかったのかを考えるワークショップをしたという。「騒音の問題がある」「この場所でやると人が通れなくなる」など、自分のやりたいことは誰かの迷惑になってしまうからできない。それを誰が責任を持ってやるのかというところにぶつかってくる。

『責任の所在が誰かではなくて、私もしくは私たちに。つまり物事を自分ごとにしないといけない。』

という趣旨の話は大変関心した。
わかりやすく端的にみんなでやりましょうよという流れをつくれるような気がした。ひとつまた勉強になった。

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左近山団地は外部の共用部の空間がとても広く豊かだと感じた。住棟間に駐車場がなく緑地が大きく取られているのだ。車が通る心配がないので、バリカーや柵もほとんどなく、空間的な連続性も保たれている。植物も種類が豊富で、みかんがなっている場所もあった。みんなのものだから欲しい人が持っていっていいそうだ。階段室の足元には小さな庭のような場所があり、階段室ごとに管理されているらしい。綺麗な花が植えられているところばかりだった。
空き家も少ないようだ。小学校や中学校も近く、ショッピングセンターもある。住棟は地形に沿って配置されていて、微妙なシークエンスの変化もたくさんあり、ほんとに歩いていて楽しい。暮らしやすいと感じて、若者も一定入ってきているそう。ひとの循環もあるようだ。

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クマガイさんは左近山団地内の診療所で生まれたらしい。現在も左近山団地の近くに住んでおり、団地内の小学校に娘さんが通っているそう。会場からプロジェクトの継続性について問われ「自分が育った場所なので、ずっと付き合っていきたい」と話していたのが印象的だった。

夜、東京にいる後輩とご飯を食べながら「育った地域に根を下ろして地域再生に取り組むのはモデルとして成り立つと思った」と思う一方で「その方法でどれだけの場所に関われるのか」という問題もあるという話になった。

まぁ一人じゃできないけど、そんな人がもっと増えてネットワークができればいいんだ。
そんな人集めた「地域根下ろし型地域再生シンポジウム」とかできればいいのに。


タイシロウ


by saji_saji | 2017-10-21 11:38 | タイシロウの日記
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